アリアンロッド、過去編。

春から秋にかけて色々ありまして、久しぶりのTRPGです。
旦那さまが大型連休の時は私の仕事が立てこんでおり、私が暇になると旦那さまが多忙、二人共休みの時には家族に不幸があったり病気で寝込んだり……。
「健康第一」が頭によぎるお年頃。


さて。
数年がかりでボチボチ遊んでいるアリアンロッドのキャンペーンシナリオは、GMの過去のキャンペーンとつながりが深いそうで。
キャラクターが転生してゾロゾロ出てくるのですが、私も旦那さまも参加していないので、ピンときてなかったのです。
そこで、当時のシナリオをコンバートして、キャンペーンの世界の「過去編」として遊ぶことになりました。
はてさて、ガープスアリアンロッドというまるっきり違うシステムですが、どうなることやら。


アリアンロッド2Eは、実は初体験。
使っていたスキルの内容が全く変わってしまったため、キャンペーン中のキャラクターをコンバートしていなかったのです。
2Eでは転職がお手軽にできるので、キャラクターの幅が広がったみたいですね。


今回のメンバーは……
フィーネ(17歳):エルダナーン:アコライト/メイジ→フォーキャスター
ユウ(16歳):ドゥアン:ウォーリア/モンク→サムライ
カルロ(34歳):ヒューリン:メイジ/サモナーガンスリンガー
……です!(実年齢とのギャップに苦しむ今日この頃)


8レベルからのスタートなので、みんなサブクラス転職しています。
しばらく忙しくてルールブックを読めなかったので、私のキャラクターであるフィーネのスキルは旦那さまが選んでくれました。絡め手が好きな旦那さまらしいチョイスでした。
ただ、行動値的にあまり上手に機能せず、どうも納得がいかなかったようで、後日再構築決定。
ちなみにフィーネは不死の因子を持っていて、現代編の私のキャラクターであるアルペジオの祖先、という裏設定。……未来まで生き残っていれば、ですけどね!


旦那さまのキャラクターはカルロ。チョイ悪オヤジを狙っているようです。
H君のキャラクターであるユウは、ガープス時代からの引き継ぎですが、キャラクターイメージを崩さないように作り直すのは大変そうでした。
同じシナリオに同じキャラで参戦ということで、「ああ、記憶が蘇ってきた」と言いながら、一歩引いた立場で見守ってくださっています。でも、唯一の戦士キャラなので、どうしても最前線ですけどね。


【プロローグ】
フィーネはその時、まだ八歳の子供だった。
傍らには親代わりになってくれたレスフィーという女性が立っている。そして、二人の周りにいるのは、“人間の全て”だった。
”ダークロード”ヴォーゼルとその配下となった悪魔により、人の世は終わりを告げようとしていた……。


「フラスト先生、フィーネをどうかお願いします」
レスフィーは、フラストと呼ぶ髭の紳士に幼い子を託し、去っていった。
フィーネはその背を追いかけようとしたが、逡巡し、拳を握りしめてうつむいた。
紳士はシルクハットを目深にかぶり、つぶやく。
「まだ……足りませんね」
やがて、フラストに手を引かれたフィーネは、”かつて人であったもの”が折り重なり、血の匂いが充満する中を歩んで行く。
フィーネは滅びの恐怖よりも、何の力も持たない自分が辛く悲しかった。


GM「折れた大刀に手を伸ばし、傍らの女性と共に絶命している大男もいる」
フィーネ「誰ですか?」
ユウ「俺です」
フィーネ「うわあああ!」


黒く大きな鎧を身にまとう“ダークロード”。
折れた刃がその腹に刺さっているにもかかわらず、その肩から伸びるもう2本の腕で男を宙吊りにしていた。
男はダークロードに弾丸を打ち込むが、黒い鎧は身動ぎもしない。


カルロ「弾……ってことは俺か(笑)」


禍々しい腕が蠢き、力が込められていく。
フラストはフィーネの目をそっと覆った。ボトボトッと肉塊が地に落ちる音が無情に響く。


ユウ「原型をとどめていただけ、俺はマシなんですよ」
フィーネ「うわあああ……(汗)」


「――これで人間は最後か」
ダークロードの言葉に、フラストは「そうだね」と答えた。
「カルロ君は儀式が終わっても、残り少ない魔力を振り絞って、最期まで戦っていたんですね」
「何の儀式だ」
「教えてあげません」
不敵な笑みを浮かべるフラストの横で、フィーネは目に涙を浮かべ、ダークロードを睨みつけた。
フラストが指をぱちんと弾くと、大きな扉が唐突に現れる。
「次は負けませんけどね」


まばゆい光に思わず目を閉じたフィーネは、気がつくとまるで知らない場所に立っていた。
そこには緑の草木が風にそよぎ、青い空が広がっている。
そんな平穏な空気を、フィーネは初めて知った。
「ここは十五年前の世界です。戦争が始まる前の」
フィーネの手を引くフラストはそう言った。
「レスフィーは仲間を集めるために、時を遡る魔法儀式で五年前に戻りました。つまり、今から十年後です」


――それまで、あなたはどうしますか?


フィーネ「重い……。来たる日に備えるため、冒険者となるのでしょうね」
GM「フィーネは学校で働きつつ、既にカルロとユウとも出会い、ギルドを組んでいるということで。未来で見たことは彼らに内緒ですよ」
フィーネ「は、はじめまして……」
GM「なお、ギルドハウスはフラスト先生が用意してくれました。他にも色々と尽力してくれています」
カルロ&ユウ「アイツに借りを作りたくねー!」
※フラスト先生は現代編でも現役で活躍中。


【纐血党(コウケツトウ)/あらすじ】
辺境の警備隊に雇われているカルロは、往来の露店で売られている奇妙な布に目を留める。
美容に良いとか健康になるとか幸せを呼ぶとか、いかがわしい売り文句の赤布だ。しかし、なまじ微かに魔力を感じる分、たちが悪い。
赤布を買って身につけた者は、いつの間にか性格が悪い方に変わってしまうという噂もあった。
少し持ち帰り、辺境医ののダッシュに布を見せると、赤い染料の成分に血が使われていることが判明した。


カルロ「穏やかじゃないね」
フィーネ「呪術的なものですかね……」


カルロは上司のフェリクスに伺いを立て、赤布について本格的に探りを入れる。
赤布を取り扱って露店は入れ替わり立ち代わりでこれまでいくつかあったが、その商人は皆“赤い頭巾”をかぶっていた。
他の露店商に話を聞くと、赤布を取り扱う露店は他所よりも物価が安いためにそこそこ客がついているようだった。
そいつらを密かに調べているという裏社会の顔役エンダーから話を聞くと、この町から出て行ったように見える露天商も頭巾を脱いだだけで近くに潜伏しているらしく、一味の数は徐々に増えているらしい。
身体のどこかに赤布を巻いているのが目印だと言う。


エンダー「まぁ、一杯やってくれ。なぁに、お近づきの印だ」
カルロ「そうかい? 悪いねぇ」
フィーネ「カルロさん、チョイ悪オヤジ系なんですね。タレ目で胸のボタンが多めに外れてるっぽいイメージが(笑)」
エンダー「アンタも表じゃ大っぴらにやれねぇこともあるだろう」
カルロ「はっはっは、ボクはこういう話もあるよって言いに来ただけだよ。嫌だなぁ」
ユウ「中年オヤジ同士の腹のまさぐりあい」
フィーネ「……ま、まさぐりあい? 近すぎる、距離が!」
GM「カルロさんの胸のボタン、8つくらい外して……」
フィーネ「全開じゃないですか!」


一方、ギルダル師匠の元で修行を続けているユウは、隣の病院に一人の男が運び込まれてきたのを知る。
ダッシュ医師と助手レインの必死の看病で意識を取り戻した男の名は、ティーグ。たまたまカルロが助けた善良な行商人のうちの一人、マリアの婚約者だった。
ティーグは赤い頭巾をかぶった商人の護衛の仕事をしていたが、酒を飲まされ前後不覚になったところで、廃城の地下に連れ込まれたのだという。
そこでは、人を苗床にする赤い花に生き血を混ぜた染料で布を染めていた。
命からがら逃げ出したティーグだったが、この町で落ち合うはずだったマリアと行き違いになってしまったらしい。
赤頭巾の露店商に探りを入れると、ティーグの顔色が変わる。
「あいつが売っているのは……マリアの荷だ」
間違えるはずもないと言う。ティーグが作ったアクセサリーだったからだ。


カルロ「は、売値が安いはずだ。仕入れ値がタダってことか」


問い詰めると赤頭巾の商人は逃げ出した。その動きは、とても人間のものとは思えなかった。
奥の路地まで追いかけると、目を赤く光らせる男たちと共に襲いかかってきた。
彼らを倒して話を聞き出そうとすると、彼らはまるでゼンマイ仕掛けのオモチャのように動かなくなった……。その身体には、みな一様に赤い布を巻いていた。
そこにエルダーから、「赤頭巾たちのアジトを突き止めた」という伝令が来る。


ユウ「よぉ! お前も一緒に行くか!」
GM「な、何をおっしゃるんですか。ボクは善良な一般市民ですよ」
フィーネ「ユウさんのお知り合い?」
GM「トップです」
フィーネ「……その名前、現代編の方で聞いたような気がします」
GM「糸目のトップにはタルフという義弟がおりまして、タルフはフィーネの生徒の一人です」
ユウ「ちなみに、ガープス時代は俺以外の誰も便利スキルを持ってなくて、トップを冒険に連れ回して、御者やら鍵開け要員としてひたすら使い倒したんですよ」
カルロ「むごい」


アジトには「纐血党(コウケツトウ)」と名乗る者から、赤い布を売りつつ機を待つように書かれた指令書があった。
ティーグが逃げ出したという城跡を探し出し乗り込むと、牢に虫の息のトーマスという男がいた。マリアの隣で店を出していて、共に町を去ったはずの男だった。
助けだして事情を聞くと――
マリアさんが先ほど、奥に連れて行かれて……」
それを聞いて、弾かれたように駆け出すティーグ。
奥の玉座には一人の男が座っていた。その足元には食い散らされた死体が転がっていた。
ティーグは逆上して男に飛びかかるが返り討ちに遭い、その身体から血が吸いだされていく。もはや一刻の猶予もならない。
しかし、赤く目を光らせるその男の動きは機敏で、ユウの攻撃はなかなか当たらない。


GM「では、こちらの攻撃――えーと……」
フィーネ「うわ、ダメージ100を軽く越えてる! 8レベルこわっ!」
ユウ「防御力引いて、お二人の《プロテクション》と《サモン・アラクネ》でダメージ軽減して――お? HP1残った。《ソウルバスター》だ!」
※ソウルバスター:受けたダメージと同じ分のダメージを相手にも与える必殺技。


そこから戦局は一変。
カルロとフィーネが続き、男の動きの鈍くなったところにユウの渾身の一撃が炸裂する。
「馬鹿な……私は復興の力を手に入れ……て……」
男の身体がみるみる凝固していく。
それを見たカルロは醒めたように笑い、銃尻で破砕した。


「マリアは気の毒でした……」
かろうじて生き残った行商人のトーマスはため息をついて言った。
マリアの婚約者であったティーグは、ユウの道場に連れて行かれ、辛いことを忘れるかのようにズタボロになるまで日々修行に励み、今回の戦いで重症を負ったユウと共に、病院の助手レインの頭を悩ませているらしい。
二人の子供のいるトーマスはしばらくこの町で過ごすことにし、付き合いのあるローランド商会に身をよせることにしたという。フィーネもそれがいいと思った。
「ローランドさんのところの娘さんは、もうすぐ誕生日なんですよ」
「そうなんですか」
「レスフィーお嬢さんも、すっかり大きくなって……」


フィーネ「え? レスフィー!」
ユウ「あれ、マジで気がついてなかったんですか」
フィーネ「他のゲームではフルネーム聞いてた気がするけど、すっかり忘れてた!」
カルロ「俺はわかってたよ」
フィーネ「一人でびっくりしちゃったじゃない。教えてよ(笑)」


次回のシナリオに続く!
※あらすじなので、内容は色々と端折っています。記憶違いもあるかも。