「しょうがない」の事。

連日ニュースを騒がせている、久間氏の「原爆しょうがない」発言。
あの立場の人間の発言としては許されない内容だと思いますが、この「しょうがない」という言葉は、とても日本的だと思うのです。
嘆いても元に戻らない事は、やはり「しょうがない」の境地に至ってしまいますよね。


覆水盆に返らないけど、しょうがない。
こぼれたミルクを嘆いても、しょうがない。


日本人は、「しょうがない」と諦める事が多い民族なのだそうです。
レストランで注文と違うものが出てきても、「しょうがない」と思って食べる。
酷い事を言われても、あの人は「しょうがない」と思って黙る。
どうしてだろう。
地震や噴火、水害や日照りなどの災害が多かったり、火事によって家が焼けたり、身分の差による不条理な出来事が多かったからでしょうか。
嘆いても仕様がない。我慢しよう。
早く忘れて、明日また生きる事をを考えよう。
その考え方が、とても日本人らしいなぁと思うのです。


戦争に負けたけど、しょうがない。
原爆落ちたけど、しょうがない。


だって、だって、嘆いても死んだ人は戻らないんだもの。


日本ではそれまで天皇が“神様”だったわけだけど、明確ではないにしても「天皇は人間です」と示された。
敗戦した日に、家族も家も財産も、神様までも失ったのです。
その象徴が、あの原爆。
何もない。何も残らない。悲しみしかない。
過去を否定しても、事実は残る。
だから、「しょうがない」。
せめて少しでも、良かった事を探すしかないじゃないか。


失言を擁護をするつもりはないけれど、「しょうがない」と言った気持ちは何となく理解できるのでした。