生首に聞いてみろ

生首に聞いてみろ (角川文庫 の 6-2)

生首に聞いてみろ (角川文庫 の 6-2)

第5回本格ミステリ大賞受賞作、「2005年度版このミステリーがすごい!」の第一位です。
彫刻家の遺作の首が何者かに切断されて持ち去られた。犯人とその意図は……?


探偵法月綸太郎シリーズの10冊目だったそうで、キャラクターの設定が最初なかなか掴めずに苦労しました。
このシリーズを読む前に、一冊目の「雪密室」は読んでおいた方がいいかもしれません。
ページ数のわりに謎はシンプルで、犯人も序盤で解ってしまったのが残念でしたが、それだけ「フェアな描写を心がけている」と感じました。
密室あり、二転三転する犯人像ありと、なかなか王道の推理小説です。
欲を言えば、解決シーンがやけにあっさりしていたので、もうちょっとそこはドラマティックに演出しても良かったかもしれません。
石膏像に関する記述がしっかりされているので、美術をかじったことのある人なら、ミステリーとはまた違った側面から面白いと思います。


余談ですが、作者の法月さんはエラリー・クイーンの心酔者とのことで、作者と同名の小説家兼探偵という設定をリスペクトしているそうです。
私も「作者と同名の探偵」のシリーズは結構好きですね〜。
仁木悦子さん、有栖川有栖さん、栗本薫さんも同名探偵がいる小説家ですね。自分の名前を出すだけあって、面白いものが多いという印象があります。ちょっと読みたくなってきましたね。