三月は深き紅の淵を

三月は深き紅の淵を (Mephisto club)

三月は深き紅の淵を (Mephisto club)

今年に入って、猛烈に読書熱が再燃しているので、お小遣いが足りないっつーことで、この間の土曜日に本を6冊借りてきたのですが、ようやく1冊読み終えました。時間かかったな!
実はこれが初『恩田陸』さんです。なぜか若者向けの青春作家のイメージがあって敬遠していました。
よくレビューに「ファンタジーの要素がうんぬん」って書かれていたからでしょうか。推理小説のコミュニティで名前があがっていたので、今更ながら興味が出て、試しに借りてきました。図書館で試すようになったあたり、私も賢くなりました。


で。
読むのに4日くらいかかりましたが、なかなか面白かったです。
時間がかかった理由のひとつのは、ハードカバーということ。ハードカバーは大きくて速読が難しいのと、重たいので持ち歩いて読むのに不向きなのですよ。
それと、内容的に何度も前に戻って読み直したりしたからです。


この本は、『三月は深き紅の淵を』というタイトルと同名の本を巡る4つの短編。
しかし、短編集でありながら、ひとつの長編でもあります。
第一章でその不思議な本の虜になり、第二章で「そういう事か」と納得。
第三章ともなると最初に語られた内容との繋がりを確信し、第四章で現実との境目がわからなくなってゆくような感覚。
作者の若い頃の作品のようにも錯覚しますが、それも計算されているのでしょう。
章ごとに登場人物も設定もがらりと変わるため、共通点を見つけ出すために何度も前の章を確認し、そのために読破に数日かかりましたが、この本の雰囲気を楽しむためには、本の中での『三月は深き紅の淵を』を読むルールと同じく、「貸すのは一人だけ。そして一晩で読むこと」がこの本の正しい作法かもしれませんね。
そして、作中小説のいくつかには、その後の作品の断片が見られるそうなので、次はそれらを読みたいです。
残りの作品もいつか読める日がくるのか楽しみですね。



こちらは文庫版。

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)


作中小説の第一章『黒と茶の幻想』と同名の長編小説。

黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)

黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)

黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)

黒と茶の幻想 (下) (講談社文庫)


作中第四章『回転木馬』と、作中小説第三章『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』と同じキャラクターが出てくるという長編小説。

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)