陽気なギャングが地球を回す

陽気なギャングが地球を回す (ノン・ノベル)

陽気なギャングが地球を回す (ノン・ノベル)

初めての伊坂幸太郎作品。
前半で材料は出そろっていたので予測はできたけれど、最後に畳みかける展開が面白かったです。
既に映画化されていますが、クドカンが脚本書けば良かったのに、と思いました。私の中で同じカテゴリーに登録。
それぞれが自分勝手に話しているだけのとぼけた会話や、人にはない特殊能力の活用など、「これが今風ってことなのかな」と。
犯罪を肯定したり、自閉症の症状をまるで人と違うカッコイイことのように言うのは苦手ですが、若い人に人気があるのはわかる気がします。


キャラクター性がウケているようなのですが、個人的にはそうでもなかったかな……。
銀行強盗ボスの成瀬は嘘を見破る天才。私も嘘や怒りなどを見破れるタイプなので、こういう人はいるだろうとは思う。ただ、それをわざわざ言ったり活用したりすると、ろくな事にはならないものだとも思う。そういう意味では世渡り下手ですよね。あと、公務員が銀行強盗っていうのは、私のモラルが許せなかった。
響野は演説の天才、なのかな。よく解らないけれど、博識で運動神経もよくて一番のオールラウンダー。嘘をついてる気は更々ないし悪気もないから、嘘発見には引っかからない気がするなぁ。まあ、信用できないってのは解るけれど。うんちく好きは一定の割合で嫌われる。でも、あの超ポジティブな性格は見習いたいな。
久遠はスリの天才。そして博愛の精神を持つ動物愛護者。でも、こいつはちょっと嫌い。動物を愛するくせに人間を差別する人間を私は信用しない。そして、そういう人間はすごくたくさんいる。
雪子はコンマ1秒単位の体内時計を備え持つ女性。逃走用のドライバーで、車を盗んできたりもする。そして、一人息子を守るためならば、人をひき殺しても構わないというタイプ。怖い。


カテゴリーは一応「サスペンス」らしいですが、「娯楽作品」というのがしっくりくるかもなぁ。


陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

こちらは文庫版。


こちらはDVD。
映画版はラブ要素が盛り込まれているそうな。いらんだろう、この作品にラブは。