ボトルネック

ボトルネック

ボトルネック

米澤穂信氏の、報われないパラレルワールドもの。読後感は最悪です。
人間模様はとてもリアルで、「いるよね、こういう人たち」と思います。「自分はどのタイプか」と考えると、ぞっとするかもしれない。
少なくとも、人の不幸を喜ぶような人間にはなりたくないですね。


ボトルネックとは何かというと……

80-20の法則などが示すように、物事がスムーズに進行しない場合、遅延の原因は全体から見れば小さな部分が要因となり、他所をいくら向上させても状況改善が認められない場合が多い。このような部分を、ボトルネックという。
瓶のサイズがどれほど大きくても、中身の流出量・速度(スループット)は、狭まった首のみに制約を受けることからの連想である。
wikipediaより引用

……つまり。
夢のような「あちら側」と、悪夢のような「こちら側」。
その違いを起こしているモノは「何か」ということが主題になっています。


取り返しがつかない事になる前に「あちら側の姉」が「こちら側」に来てくれた方が、そりゃハッピーな結末になったかもしれないけれど、語られていないだけで「こちら側の方が良かったこと」だってあったんじゃないのかな。
全ての不幸を「自分のせいだ」と背負い込むための旅なんてまっぴら。


そもそも、「あちら側」に出てきた住民って、「こちら側」の世界では死んでいる人、死の淵にいる人、人を殺した人、そして死んでもいいと思っている人。
何とも死神に愛された町ではありませんか。これは意図的なものなのかな。
「あちら側」を羨むのは怖い気がしますよね。