なぜエヴァンズにいわない?

なぜエヴァンズにいわない? (偕成社文庫)

なぜエヴァンズにいわない? (偕成社文庫)

アガサ・クリスティの作品です。ポワロでもミス・マープルでもありませんが……。
被害者が最期に口にした言葉がきっかけで、主人公は命を狙われる羽目になり、事態が二転三転するというサスペンス。ほんのり青春物語の側面も有ります。
1934年に発表された作品で、西洋の文化や時代背景が取っつきにくいですが、注釈は多めで読みやすいと思います。
児童書扱いですが、完訳版なのでご安心を。
ハヤカワからは『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』というタイトルで出版されています。
"Why Didn't They Ask Evans?" という原題は、アメリカでは "The Boomerang Clue" と珍妙に改題されていたり、なかなか翻訳者泣かせのタイトルのようですね。


実は米澤穂信氏の『愚者のエンドロール』の副題が "Why didn't she ask EBA?" ――つまりこの作品が元ネタと知って、興味を持ちました。
でも、「ダジャレ」以上の繋がりは見つけられなかった。何か他にも意味があったのかな。


以下、ネタバレ含む備忘録ですので、注意。


牧師の息子のボビーは、崖から落ちて瀕死の重傷を負った男を発見する。
男は最期に、「なぜエヴァンズにいわない?」と言い残して息絶え、それからボビーは何者かに狙われることとなる。
ボビーの幼なじみで好奇心旺盛なお嬢様フランキーは、それが彼の最期の言葉と関係があると睨んで、事件の事を調べ始める。
フランキーは手始めに、ボビーが現場保全を頼んだ男の正体を突き止めたが、その近くに住む医者の妻の写真を、死んだ男が持っていたことが発覚する。
医者の妻は、自分の夫が他の女と再婚するために自分を殺そうとしていると、ボビーに助けを求める。
果たして、どの言葉が真実で、誰が犯人なのか……。