ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘

ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘

ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘

水木しげる赤塚不二夫手塚治虫。日本でこの三人の名を知らない人はいないでしょうね。
その三人の娘の対談集です。
偉人の家族という苦労話と誇りが満載で、逸話は「さすが漫画の神様!」と思うような物が多いですが、それでいて少年のようでもあり、娘との接し方に悩む父親でもありました。


手塚先生は神であり王でもある、といった感じ。生活水準の高さがにじみ出ていますね。破産しても、家族に惨めな思いは絶対にさせないという強い意志があったと思う。
赤塚先生の娘さんは、すごく血を強く受け継いでいるんだなぁ……と。金を稼いでもパーッと使っちゃって、浮気しまくり。最後にはアル中になって、寝たきりになった父。それなのに、最後は母と同じ病院でほとんど同時にこの世を去って。普通なら憎んでも仕方ないくらいなのに、その父を後妻ごと愛せるところが凄すぎる。涙が出そうでした。
水木先生は若い頃に一番苦労されたと思うけれど、堅実・誠実・確実な幸せを手にされていると思いますねぇ。遠い存在のはずなのに、何だか身近でほっとする存在でした。


娘チョイスの短編は、娘から見た父親の姿というより、娘がどのように育ったか、という家庭の事情が滲み出ているようで面白かったです。
水木先生はいつでもちょっと俯瞰した立ち位置から漫画を書きますね。自分が主人公であっても。不条理に踏みにじられた経験があるからか、いつもどこか哲学っぽい。
赤塚先生の作品は、現代のバラエティ番組がスタッフを使ってバカやってる的なものを感じました。古い作品なのに新しい……。
手塚先生は、ああいう絵でああいう青年向け(?)漫画を描いていたのに少し驚きましたが、メルモちゃんのベースに流れているものに出会った気分でした。