天と地の守り人<第3部>

天と地の守り人〈第3部〉 (偕成社ワンダーランド)

天と地の守り人〈第3部〉 (偕成社ワンダーランド)

守り人シリーズ最終巻。


壮絶な物語でした。
眠るのも忘れて読みふけりました。
第2部を読み終え、そのまま第3部に手を伸ばし、気がついたら夜が明けていました!
ああ、至福の時間でしたとも……。


この物語の舞台は、かつての我らが世界と重なって見えます。しかし、きっと「本当の戦争」はこの比ではないでしょう。
苦しみ死んでゆくのはいつでも民。
タンダやヒュウゴの言葉は、上橋さんの叫びだったと思います。


幾万人もの命を踏みしめて生きる痛みを感じるチャグムが、地獄の淵に立ったタンダが、前を向いていることが何よりも救いでした。
きっとこれからもみんなは精一杯生きていくのでしょう。


「……雑草なんて、この世には、ないのにな。――ぬいちまったか。」


タンダのこの言葉はさりげないのに、温かくて、重かった。
<魂にふれる金の糸>のようなささやかな声に耳を傾けていける世でありますように。