聖女の救済

聖女の救済

聖女の救済

東野圭吾先生著、探偵ガリレオシリーズ長編第二弾。
終盤で繰り返された「序文」を読んだ時は、ずっと感じていた違和感が全て解消され、すとんと腑に落ちました。
犯人が最初から判明しているにもかかわらず、1冊飽きさせない技量はすごい。
トリックは(すごいけれど)地味です。
それよりも、心理的なやりとりや、押し殺した思いのような部分が強く描かれていない分、心に残りました。
友情と愛情の板挟み、理想と現実……。
「子供を産む道具」という言葉が話題になった事もありましたが、女性の婚期が遅くなるにつれて、その壁にぶつかる夫婦は案外増えてくるのかもしれません。


あと、相変わらず東野先生は、理性あふれる献身的な女性がお好きですよね。いや、感情的で打算にまみれた人間が嫌いなのか。
内海刑事もドラマ版より冷静で、好意を持って書いている気がします。
草薙刑事は……幸せになって欲しいものですね。
「ああ、男同士の友情って、こんな感じだよなぁ」と思いながら読んでいました。