ドラゴンの眼

ドラゴンの眼〈上〉

ドラゴンの眼〈上〉

ドラゴンの眼〈下〉

ドラゴンの眼〈下〉

スティーヴン・キングの書いた児童書ということで、興味を持って読んでみました。
実は、キングの著書は初めて。
もちろん、『スタンド・バイ・ミー』『ミザリー』『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』などなど、有名な作品だらけの名著者であることは知っておりますし、読書好きならば通るべき道であることも知っておりますが、わたし……わたし……怖いのが苦手なんですぅぅぅ!


でも、児童書ってことで、ええ。児童書なら、ええ。

サーシャは婚礼の夜まで、パンツをおろした男というものを見たことがありませんでした。夫のたるんだおちんちんをしげしげと見て、サーシャはひどく興味をそそられました。


……えっ、ちょっとまって?
じ、児童書だよね?!

「これは王の鉄だよ」
「では、炉はどこにあるのです」
「そなたが、知らないうちに持参してまいったはずだ」


ちょっ(取り乱す)流せ――っっ!!


……というわけで、冒頭からいきなり不意打ちをくらったわけですが、読み終えた感想としては、すごく面白かったです。
このお話は娘のために書いて(何だってぇー?!)自費出版したものの、ファンからの強い要望で改稿して出版したのだそうです。
キング唯一の児童書だそうですが、雨沢泰さんの翻訳もやさしくて、テンポがよくて、すごくよかった。海外小説って、訳に大きく左右されますからね。


タイトルにもある『ドラゴン』は序盤にちょっと出てくるだけで、基本は王国の謀略もの。展開はショーシャンクの空に』のファンタジーのようでした。
主人公のピーター王子は、苦境でも諦めず、誇りを失わず、実に気持ちの良い青年です。彼が無実を晴らした時は、感無量。
しかし、ピーター王子をねたんで育ったトマス王子は、影の主人公。彼の終盤での行動、そしてエンディングはピーターの脱出劇よりも胸を打たれました。
どんなに駄目な人間でも強かったり、立派な人間でも間違ったりと、大人になる前に知っておくべき大切な事が書かれていたと思います。
ただし、夜の生活について、お子様から「これどーゆー意味?」って聞かれても慌てませんように。たはは。


なお、この物語はダーク・タワーシリーズと繋がっており、『ダークタワー』は他の作品ともたくさん繋がっているそうで……。
あらら、読みたい本がいっぱい増えちゃったみたいです。


ダーク・タワー1 ガンスリンガー (新潮文庫)

ダーク・タワー1 ガンスリンガー (新潮文庫)