プロのお仕事。

……地震だ。
あ、長い、長い、これはヤバイ……!
いつもの地震じゃないことは、すぐにわかりました。


大震災の日、私はイラスト着彩の手伝いをしていました。
地震の直後に関東に在住している先生からメールがありました。「揺れています!」と。
北海道でも揺れているのに、関東でも揺れている。こんなことは今までありませんでした。
揺れている最中にメールを書いて、送って、受信してもまだ揺れている。


震源地は東北だとわかりました。
大津波警報」が発令されました。
「注意報」じゃありません。「警報」です。警報は必ず来るのです。
しかも、「津波」警報じゃありません。「大津波」警報です。3m以上の波の高さです。
東北でリアルタイムで津波に飲み込まれる車の映像が映し出されました。人が乗っています。次々に家も押し流されてゆきます。自宅の2階に避難した人も多いでしょう。
カメラマンの呻き声が聞こえました。


その日は一日中、地面が揺れていました。
船酔いのような症状に悩まされた人がたくさんいました。
電話は通じず、メールもずっと遅延していました。
電車も運休になりましたが、ありがたいことに北海道でも関東でも電気は止まりませんでした。
地震自体での建物の崩壊はほとんどありませんでした。


あんなにすごい地震だったのに、誰も仕事をやめませんでした。
きっと、全国の漫画家さんも同じことをしていたと思います。
きっと、みんな「子供たちが待っている」と思いながら描いていました。
編集さんたちも、印刷会社の人たちも、運送会社の人たちも、本屋さんも、色々な想いをこめて頑張っています。
多少は発売が送れたとしても、ちゃんと本は本屋に並ぶと思います。
残された私たちは、できることをしよう。
命ある限り、ちゃんと生きよう。
届け、この想い。