人気作家らしい。

昨日、スーパーでの時間つぶしに、何冊か推理小説を買いました。
その中の一冊に、今までに何度か人に勧められて、本格ミステリ大賞などでも賞を取るような有名な作家さんの本がありました。
でも正直、肌に合わなかったです。
キャラクターは、物語のためにコマに過ぎないのかもしれないけれど、ブラックなのはどうもなぁ。しかも、投げっぱなしなんですよね。


どんなにドロドロな話でも、読み終わった時に気分がスカッとするような感覚がないと、二度と読みたいとは思わないんですよね。
例えば、横溝正史さんの本などは、「これでもかっ!」というくらい暗く泥沼な世界だけど、謎が解けた時には悲しくも清々しい気持ちになれたものです。
だけど、この作家さんの本を読むと、何というか、鬱々とした気分になるのです。厭世感に苛まされるというか。


その違いは何なんだろうと考えたのですが、「思いやり」かなぁと思うわけです。
犯人がいたとして、その犯人がその犯行に至るまでの「悲しい気持ち」が描かれていない。もしくは、理解できない。
探偵は、その「悲しい気持ち」に触れない。
だからこそ、読み手は「どうして?」と思うわけですよ。そのモヤモヤした気持ちが解決されないまま、物語は終わっちゃう。物語の謎は解けても、心の謎は置き去りなんだなぁ。
それがわざとなら、かなり底意地の悪い作家だと思います!


わざわざ仮想の話を読んで、暗い気持ちにはなりたくないですものね。
口直しに、宮部みゆきさんの小説を引っ張り出して再読しちゃいました。悲しい事があっても、最後には「頑張ろう」という気持ちにさせる書き手さんです。
もちろんどの作品も手放しに褒めるというわけにはいきませんが、基本的に、犯人に対する目線すら深く、優しい作家さんだなぁと思います。そこが好きなんだろうな。