クロスファイア

クロスファイア(上) (光文社文庫)

クロスファイア(上) (光文社文庫)

クロスファイア(下) (光文社文庫)

クロスファイア(下) (光文社文庫)

鳩笛草の短編の登場した女性の1人をピックアップした続編で、超能力をテーマにした長編小説です。
「念力放火能力(パイロキネシス)」という超能力に対して真摯に向き合って、「もしこれが犯罪に使われたら?」という視点から丁寧に書かれています。
この手の話で、“おばさん刑事”が主人公なのが、すごく宮部さんらしいな。
最後の切ない終わり方に、しんみり……。
このおばさん刑事は、「R.P.G. (集英社文庫)」にも出ていて、そちらは超能力と全く関係ないのですが、復讐に燃える女性を諭す言葉が、「ああ、この事を指していたのか……」と、今更ながら思います。
怒りは結局、悲しみしか作り出せないんだな……。


久しぶりに宮部さんの「龍は眠る (新潮文庫)」も、再読したくなっちゃいました。
これも超能力モノなのですが、派手な能力を持ってしても、できる事とできない事があり、たくさんの悩みを抱えているのが、読者としてしみじみ共感できる部分なのだと思う。