スペシャル・ブレンド・ミステリー 謎002。


先日に引き続き、スペシャル・ブレンド・ミステリーの2冊目を読みました。
'70年代、'80年代、'90年代の代表作品の中から、さらに選りすぐりのものを集めたアンソロジーです。
今度は、宮部みゆきさんが選者となっています。
選ばれたのは、生島治郎森村誠一小松左京佐野洋都筑道夫原りょう、夏樹静子、計7篇。
編者の宮部さんが好きなので、すごく期待していたんですよ。


でも。
でもでも。


ちょっとこの本はハズレだったなぁ……。


まず、冒頭作品が全くミステリーじゃない。


推理小説はネタバレ厳禁だと思うけれど……。
コレは推理小説ですらないから、期待して読んだ方がガッカリすると思うので書いちゃうわ。
それでも、読みたくない人は、目をつぶるよーに。


「母親に反発して家を出た息子がヤクザの鉄砲玉となって父親を殺害」
終〜了〜。


ど こ が ミ ス テ リ ー ?


さらに言うならば、シャワー上がりの父親を撃ち殺して息子が逃げた後、父親のバスタオルがハラリと落ち、そこには母親が「ダメ男だった父親の印」として話していた、


「男一匹」の入れ墨が。


しかも、ふ……ふとももにっ。


何故っ、何故っ??!
ああ、確かにある種のミステリー。


全般的に、このアンソロジーの作品はあまりミステリーっぽくなくて、残念でした。
その中では、夏樹静子さんの作品は正当派でしたけど。
'71年、'81年、'91年の「推理小説代表作選集」から選ぶ事になっていたそうなので、ちょっと不作だった年なのかと思ったら、顔ぶれを見る限りはそうでもないようで。
作家の序列とか、他のアンソロジーとの絡みとか、著作権の問題とか、何かトラブルでもあったのかなぁ。


個人的には、'71年、'81年、'91年の顔ぶれの名かでは、鮎川哲也、笹川佐保、仁木悦子井上夢人乃南アサが入ってると嬉しかったなぁ……。
もちろん、「推理小説代表作選集」に掲載されている彼らの作品も、面白いとは限らないし、知らない作家さんとの出会いが楽しみの一つでもありますけどね。
それでも、「ミステリー」とか「謎」とか看板背負ってるなら、やっぱりそういう謎解きメインの作品を選んで欲しかったナ。
ハードボイルドならハードボイルド、SFならSFのアンソロジーに入れた方が、読者も喜ぶと思います。ハイ。