マイ・ベスト・ミステリー I

数日前から「ちょっと胃が痛いなー」なんて思っていて、昨日は雑炊すら受け付けず、脂汗流しながら町中を出歩いていたのですが、3日目で完全にノックアウト。
胃痛・腹痛・吐き気に下痢、全く水分しか受け付けません。
久々の強烈な胃腸炎で、お腹のどこをさわっても激痛が走ります。
子供の頃から胃腸が弱いタイプなので、こうなったらもう、ポカリで水分を補給しながら、飯食わないでジッとしているしかないのは本能で理解。


こんな日は、本を買っておって良かったとつくづく思います。格好の暇つぶしです。
最近、「推理小説が読みたい!」という気持ちが高まっていて、アンソロジーでお気に入り作家を模索しているところです。


マイ・ベスト・ミステリー1 (文春文庫)

マイ・ベスト・ミステリー1 (文春文庫)


この本は、日本で第一線で活躍している推理小説家が、自薦の短編と、「これがマイ・ベスト!」という短編を、1本ずつ掲載しているアンソロジーです。
ぶっちゃけ、推理小説じゃないものも結構まざっているのですが、相通じるものがあって面白かったです。


阿刀田高・自薦「運のいい男」
 →結城昌治「替玉計画」
どちらも、本音と建て前を使い分ける、「ドロッ」とした肌触りのお話です。
「運のいい男」は、ミステリーというよりは、ブラックユーモア系のショートショート


佐野洋・自薦「お試し下さい」
 →結城昌治「葬送紳士」
殺し屋をテーマにした作品2点です。
といってもバイオレンスではなくて、淡々とした内容です。どちらも最後に捻りがあるものでした。


柴田よしき・自薦「聖夜の憂鬱」
 →荒巻義雄「版画画廊の殺人」
この本での個人的なベストは、「聖夜の憂鬱」でした。近々、文庫を探す予定。小料理屋を営む女将の元を訪れるお客との、心温まるお話です。捻りが2回もあって、膝を打ちました。
「版画画廊の殺人」は、パラレルワールドでの探偵小説。実在の人物と、摩訶不思議な世界がゴチャゴチャになっていて、何とも言えない世界に……。


志水辰夫・自薦「ダチ」
 →菊池寛「入れ札」
「ダチ」はハードボイルド小説でした。刑事と、幼なじみのヤクザとの友情。
「入れ札」は時代小説。見栄と後悔の入り交じった話です。どちらも心理描写が巧みでした。


乃南アサ・自薦「かくし味」
 →夏目漱石夢十夜
「かくし味」は、ブラックユーモア系のショートショート
夢十夜」は、10篇の夢を記したシュールな物語。そういえば、夏目漱石は教科書に載っていた「こころ」くらいしか読んだ事ないな。


宮部みゆき・自薦「決して見えない」
 →今邑彩「双頭の影」
「決して見えない」は既読。ちょっとした現代の怪談じみた展開。
「双頭の影」は、骨董屋の主人が語る伝奇めいた物語。最後の一言が引きずられます。


「ミステリー=推理小説」と思うと、少しハズレも多いけれど、名前は知ってるけれど読んだ事のない作家さんが結構いたので、興味深く読みました。
私は没頭型なので、読んでいる間は少し胃痛・腹痛も忘れる気もします。
ただ、ひとつの弱点として、本を読んでいると爪を噛むという幼少時の癖が発露しちゃうんですよね……。読み終わった時に、指が痛いっ。