孔雀狂想曲

孔雀狂想曲 (集英社文庫)

孔雀狂想曲 (集英社文庫)


「蓮丈那智フィールドファイルシリーズ」を書いている北森鴻の作品です。
《趣味骨董・雅蘭堂》を舞台とする短編集です。軽めのお話で、さくさく読み終わりました。


ベトナム ジッポー・1967』
《雅蘭堂》でジッポーライターを万引きしようとした女子高生から事情を聞くと、祖父にプレゼントしようと思ったらしい。
祖父が語る所によると、戦時中、友人にプレゼントしたライターらしい。そのライターのせいで、友人は死亡したのだと言う。
しかし、その真実とは……。


『ジャンクカメラ・キッズ』
《雅蘭堂》のある下北沢では、ジャンクカメラが流行っている。
それを巡って、保険会社の調査員が訪れた……。


『古九谷焼幻化』
兄から、金沢で行われる蔵開きで、古九谷の壺を競り落とすよう、強引に頼まれる。
その背景には、詐欺まがいの仕事をする骨董商・犬塚との確執があった……。


『孔雀狂想曲』
どうしても鉱物標本が欲しいので、売りさばいた先を教えてくれ、と詰め寄られる。
その事と、とある盗難事件が結びついていく……。


『キリコ・キリコ』
形見の品として、長い間疎遠になっていた伯母から江戸切り子が渡される。
それには、祖父と母が不仲にきっかけの事件が関わっていた……。


『幻・風景』
三鷹駅前暮色》という絵と対になる作品があるはずだから探してくれ、と悪徳骨董商・犬塚から依頼される。
不審に思いつつも調査を進めるが、そこには密かな思惑が……。


『根付け供養』
時代を偽り、元禄時代の根付け細工師《英琳》として名品を残す島津。
かつて、本業の指物職人の仕事にケチをつけた《雅蘭堂》に作品が渡る事を知り、島津は一世一代の仕事をやってのける決意を固める……。


『人形転生』
《雅蘭堂》が一目惚れした「ポートレート・ジュモー」と呼ばれる陶器製の人形が、最近売り出し中の客師(代理人)に買い取られた。
ところが、彼の情報を教えてくれた旗師(転売人)と、ポートレート・ジュモーの収集家が、大量の人形と共に焼死死体で見つかった……。


冷静で抜け目ないのに、押しが弱かったりする主人公の店主・越名集治が、何だか良いです。ほのぼの。
でも、万引き女子高生・長坂安積をアルバイトに雇うのはどーかと思う。身銭を切ったボランティアかっ。
60万円は下らない版画を、3千円で友達に売ろうとしたり。預かり物の300万円相当の作品を壊したり。
よ、読んでいるだけで胃が痛くなるヨ!