花の下にて春死なむ。
- 作者: 北森鴻,郷原宏
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/12/14
- メディア: 文庫
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最近ハマっている北森鴻さんの短編集です。
ビアバー・香菜里屋を舞台に、常連客を悩ませる密やかな謎を、“ヨークシャーテリアに似ている”というマスターが、あっという間に解いてしまう、安楽椅子探偵系のお話です。
謎解きもさる事ながら、4種類のアルコール度数のビールと、マスターの趣向をこらした料理がうまそうでうまそうで……。
ミステリーと料理がお好きな方なら、きっと気に入るかと思います!
「花の下にて春死なむ」
孤独死を迎えた句会の老人「片岡草魚」は、身元不明人だった。
かつて彼が言った言葉の端々を頼りに、フリーライターの七緒は、故郷に遺品を帰そうと考える……。
「家族写真」
香菜里屋で、知人にもらったという大きなホタテをごちそうされる。
その縁を聞くと、駅にある無料貸し出しの本棚の時代小説に、モノクロの家族写真が挟まっていた、という新聞記事を、マスターは取り出した。
その写真は、何かのメッセージなのか。であれば、誰に対しての?
「終の棲み家」
初の個展を開くカメラマンのポスターが、全て盗まれてしまった。
その写真は、川辺に住まう“自由生活者”を写したものだったという……。
「殺人者の赤い手」
香菜里屋の裏手で殺人事件があった。
そのマンションから逃げ出す男を目撃した小学生は、「赤い手の魔人に違いない」と言う。
赤い手の魔人とは、この近辺の小学生の間で流行っている怪談らしいのだが……。
「七皿は多すぎる」
とある回転寿司屋で、マグロだけを七皿食べて出て行った男がいると言う。
翌日も、翌々日もマグロづくし。
果たして、その行動にはどんな意味があるのだろうか。
「魚の交わり」
フリーライターの七緒が書いた「片岡草魚」の記事を読んだ人間から、「亡くなった叔母の日記に、草魚の句らしきものが書いてある」という手紙が届く。
その日記から、彼女と草魚との間にあった関係を読み解いてゆく……。