螢坂

螢坂 (講談社文庫)

螢坂 (講談社文庫)

北村鴻の短編集、「香菜里屋シリーズ」の3冊目です。
香菜里屋のマスター、工藤氏の過去がチラリホラリと見え隠れしつつ、相変わらず美味しい料理と切ない謎と共に、ゆったりとした時間が流れています。


「螢坂」
恋人を捨てて戦場カメラマンをめざした有坂が、夢破れて日本に帰った頃には、既に彼女は事故で亡くなっていた。
彼女と最後に会った螢坂は、どこにあったのだろうか……。
「猫に恩返し」
タウン誌に取り上げられた飲み屋の黒猫ゴン太。その話をきっかけに、顕彰碑が建てられた。
ところが、その碑の裏側に、女の顔が浮かぶという噂が……。
「雪待人」
かつて土地開発の立ち退きに応じなかった画材屋が、いよいよ店を畳むという。
その影には、かつて画材屋が目を掛けていた一人の画家の姿があった……。
「双貌」
公園で偶然見かけた路上生活者。その者にはどこか見覚えがあった。
そして、その正体に気が付いた“彼”は小説を書き始める……。
「孤拳」
若くして亡くなった叔父、修兄ィの遺言で、幻の焼酎・孤拳を探す真澄。
マスター工藤が導き出した、その酒の正体とは……。


次で完結編らしく、既に刊行済みなのですが、私はいつでも文庫化待ちなので、非常にソワソワしております。
嬉しさ半分、完結という悲しさが半分……ですかね。