陰陽屋へようこそ

陰陽屋へようこそ

陰陽屋へようこそ

先日読んだ本が面白かったので、天野先生の他の作品を読んでみる事にしました。
文庫じゃないと買いたくない人なのですが、まだ数冊しか出してない作家さんは、文庫化がいつになるかわからないので、それ以外の本を一冊読んでみる事にしました。
これからちゃんと文庫化されそうな「警視庁幽霊係」シリーズは耐えて待つとして、それ以外……となると、この1冊のみでしたヨ。


「陰陽屋へようこそ」は、男子中学生の主人公・瞬太君の家の近くに、「陰陽屋」という怪しげなお店が出来た所から始まります。
瞬太君の母親は、陰陽師姿の店主・阿倍祥明(あべのしょうめい)の占いを信じ、大金を支払おうとしましすが、瞬太君はそれがインチキだという事を看破。
ところが、口の上手い祥明に言いくるめられて、何故かそこのアルバイトをする羽目になってしまいます。


実はこの瞬太君、赤ん坊の頃に稲荷神社に捨てられていて、「狐」としての力を持っていたりします。
しかし、その能力は中途半端。
よく利く鼻と、懐中電灯代わりになる狐火くらいしか特別なことはできなかったり……。
あとは、陰陽屋のバイト時に、自前の狐耳と尻尾とで、すっかりコスプレのマスコットとなっているくらいでしょうか。


陰陽道+半妖という組み合わせなのに、肩すかしをくらうくらい、妖怪やら超常現象のお話はありません!
うん、これは書いておいた方が、がっかりしないと思うな。


世渡り上手のイケメン店主と、熱血半妖少年のコンビだけだと、いつも喧嘩ばかり。
ところが、主人公のクラスメイトの知性派委員長・高坂君が祥明の弱みにつけ込むと、しぶしぶ事件に乗り出す事になり、祥明の洞察力と人心把握能力で解決する事になります。
……というわけで、この物語の一番の「くせ者」は、委員長・高坂君でしょうね!


中学生が主人公で、殺人事件などもないので、あっさりめの読後感です。読みやすい文章なので、小学校高学年くらいならもう読めると思います。
やっぱり、「警視庁幽霊係」と同じように、ライトノベルと一般ミステリーの中間の「ライト・ミステリー」……という感じですかね。「警視庁幽霊係」よりは、ジュニアノベル寄りです。
ただ、祥明の家庭環境や「元・ホスト」という履歴、世間ずれした会話の内容がちょっとアレな感じだったりするし、家庭内暴力の描写などもあるので、小学生には読ませたくないかも……。
うーん、分類が悩ましいところですね!