愚者のエンドロール

愚者のエンドロール (角川文庫)

愚者のエンドロール (角川文庫)

米澤穂信古典部シリーズ2巻目。
未完のビデオの『結末』を、幾通りも考えていくお話です。
日常の謎系の推理小説で青春ものですが、甘いわけでなく、苦いかといえばそれほどでもなく。
それよりも、立て続けに変な高校生が現れて、ちょっと違和感を感じました。米澤さんは落ち着いた文体でトリックもしっかりしている作家さんなので、キャラ萌えは狙わない方がかえって萌えると思うんだがなぁ。
若者が厭世的なことをぼやいている作品が多いのですが、「子供に言われてもな」と思ってしまうので、そういう作風ならば探偵役はオジサンくらいの方が味が出て良いと思う。


話はズレましたが、未完のビデオの内容を、色々な考え方のキャラクターが次々に現れて、「ああでもないこうでもない」と語るミステリー談義は面白かったです。
人が一人も死んでいないのに、密室殺人というのが面白いですね。


それから、副題の『Why didn't she ask EBA?』が、アガサ・クリスティー『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?(Why Didn't They Ask Evans?)』が元ネタだと知って、興味が沸きました。
残念ながら、「少し変わった付け方」をしてみたという五章の章題『味でしょう』の謎は未だに解らず。続刊で明かされるのかな。近いうちに読んでみようと思います。