犬はどこだ

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

米澤穂信氏の探偵小説。
私が読んだ限り、仕事として謎を追いかけたのは始めての本。まあ、主人公は「犬探し業」と考えていたようですが。
主人公が失踪者を、相棒(?)のハンペー君が古文書の解読をするうちに、その二つに繋がりが見えてくるお話。


日常の謎系列の小説が多い作家さんですが、個人的には『本格』の方が好きで、特に『並列もの』や『歴史もの』などのジャンルが好きなので、かなりお気に入りの一冊となりました。
主人公の性格はあまり得意ではないし、終わり方に納得できないけれど、シリーズで読みたいですね。


にしても、ハンペー君の記憶力がもう少しばかり良ければ違う結末もあり得たのかと思うと少し切ないな……。
あと、米澤作品の主人公は基本的に人生を諦めたボヤキ系なので、主人公は四、五十代くらいの方がしっくりくると思います。
五十代くらいで急にリストラされたとか、帰ってきたら奥さんと子供が行方不明になっていたとか、全財産を詐欺で奪われたとかだったら、まぁ絶望しても仕方ないとは思いますが、25歳でストレス性の蕁麻疹のせいで仕事を辞めて田舎に引っ込んで、人生を全て諦めたような顔をされると、「何故??」という違和感が出てきてしまいます。
25歳なんて、余裕で公務員試験も受けられる年齢で、人生やり直しておつりがきます。
米澤さん自身がお若いので仕方ないのかな……。
そういう意味でも、齢を重ねた時にどんな味のある人物を書くのか、将来が楽しみな作家さんですね!


文庫版もあります。

犬はどこだ (創元推理文庫)

犬はどこだ (創元推理文庫)