叫びと祈り

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)

叫びと祈り (ミステリ・フロンティア)

梓崎優のデビュー作「砂漠を走る船の道」を含む処女本。
同じ作家を好きな方々が次々と絶賛していたので、文庫化を待てずに図書館へ走りました。
これは確かに推理小説好きにはたまらない『映像化不可能』な短編ばかり。
小説だけで味わえる喜びであり、日本人だからこその驚き。
素晴らしい一冊でした。


「凍れるルーシー」と「祈り」は、自分の読解に自信がないので、文庫化の折りにでも再読しようと思います。
全体的としてカルチャーショックを受けるような内容でしたが、「白い巨人」は主人公・斉木のプライベートであり、この1冊で彼らとお別れになるには惜しいと思わせられました。
日本のことしか知らない人であれば、まるで異世界のお話のように思えるだろうし、世界に文化や言葉に興味がある人ならば、思わず膝を打つかも。
取材が大変なシリーズだと思いますが、是非とも続編が読みたいですね!


以下、若干のネタバレを含む備忘録。
【砂漠を走る船の道】雑誌記者の斉木は、アフリカの民と共に砂漠を渡る途中、毒の風に遭う。
白い巨人】友人と再会したスペインで、かつて消えた彼女とその土地の伝説が重なる。
【凍れるルーシー】生きていた時の姿のままというロシアの聖人の遺体にまつわる話。
【叫び】アマゾンの奥地の原住民に起きた不幸と、彼らの最も大切なもの。
【祈り】なぜゴア・ドアはゴア・ドアと呼ばれるのか。