シアター!

シアター! (メディアワークス文庫)

シアター! (メディアワークス文庫)

有川浩先生著の、セミプロ劇団の再出発を描いた作品。
常識人の司に「悪い大人」「守銭奴」なんて言うリアル・ピーターパンが沢山いました。
今まで帳簿もなかった劇団が、ちゃんと収支を計算しただけで再生していく姿はアホらしくも面白かったのですが、「ようやく始まった」って所で終わったので、続編があるのかもしれません。
でも、これ以上続いたら、間違いなく泥沼の人間関係で解体しそう……。
恋愛モノが苦手なんで、これ以上は恋愛濃度を濃くされると「ゴメンナサイ」かも。


これ以降はちょっと辛口なので、熱狂ファンはUターン推奨。


司は鉄血宰相と言われてましたが、鉄血というのは「兵器と兵隊」つまり軍事重視の宰相ビスマルクを示す言葉だから、なんか違和感を感じました。鉄血じゃなくて冷血って意味だろうか。
とはいえ、お金を貸して、「ちゃんと返せ」というのは冷血でも鉄血でもなく、フツーの事ですよね。いい年した大人が雁首そろえて、300万円(一人頭30万程度)を用意できないなんて生活力なさすぎる。毎月1万ずつ貯金しても2年半で貯まる金額なのに……。
言葉のチョイスや、文章が少しおかしいところもあって気になりましたね。編集さん注意しないのかなぁ。それとも、ラノベってそういうものなのかしら。
そして、キャラクターがどれも苦手でした。特に弟と、アイドル声優のヒロイン。全然感情移入ができなかったです。もしかしたら同族嫌悪的な部分があるのかもしれませんけれどね。
演劇のお話なのに、肝心の作中劇の描写が少なすぎなのも気になりました。どんな話なのか、どこが面白いのか、最後までイマイチわからない。あまり演劇見てない人なんだろうな、って感じが伝わってくるのが残念です……。
あと、兄弟のお母さんを「男前」って何度も書いてるんだけど、本当の男前なら、夫をサクッと見限ったりしないと思うんだよネー。専業主夫にしてやるとかならわかるけど。子供を育て上げてから再婚するのが男前とかも、それは頑張るところが違うんじゃないのかな、と思いました。だってさ、片親でしわ寄せが来るのは主に子供のところにダヨネ。結構身勝手ですよね。
それから、「悪評」に対する自己主張は強すぎてカチーンときました。プロである以上は消費者・マスコミ批判は控えた方がいいと思うんだけどなぁ。
そういや『Story Seller』も、有川浩先生の短編の読者批判でイラッときて投げっぱなしなんですよね。続き読まないとな……。


というわけで、やっぱりちょっと口に(目に?)合わない作家さんだなぁと思いました。
人気作家さんが肌に合わないと、何だか焦るんですよね。感性が錆び付いた恐怖というか、ジェネレーションギャップを感じちゃうのです。
……っつーか、有川先生は私と同学年の人なんですけどね、たはは。
ドラマも恋愛メインだと全く見ないから、精神衛生のためにも今後は読まない方がいい作家さんかもしれませんなぁ。