帰宅。

一週間ほど実家に帰省しておりましたが、旦那さまの1ヶ月の出張が終わる日に帰宅しました。
この一週間、甥っ子たちとポケモンやったり、従兄弟と集まって宴会したり、オータムフェストでプチ贅沢したりと、色々楽しいこともありましたが、メインは施設に入った祖母との面会と、お彼岸のお参りでした。
父方の祖母は、腰骨を疲労骨折してからトイレに自力でいけなくなったのですが、「絶対に家族に迷惑をかけたくない」というプライドの高い人だったので、病院にもいかず、入浴も拒否、おむつを替えさせず、部屋の中でいたしてしまうので、家中が肥だめのニオイになってしまったという……。
癇癪持ちの父がとうとう耐えかねて、「人殺し!殺される!」と叫びまくる祖母を無理やり病院に連れ込んで骨折が判明したのですが、病院に入院して介護されるうちに、あっという間に自尊心が崩壊して、ボケが進んでしまったのです……。
雪国であるわが家は、玄関が2階にあるという仕様で、部屋の中も段差だらけ。しかも祖父母は絶対に家族に身体を触らせないため、とても介護は無理ということになり、仕方なく施設にお世話になることになりました。
今回の帰省で、祖母が使っていた客間に泊まりましたが、「ははは、くさいでしょ。あんたもくさくなるから。ああ、くさいくさい」と家族に連呼されて、ちょっと悲しくなりました。
介護は、家族の精神もさいなむものなのだと知りました。


祖母が両親と折り合いが悪かったという事実を知ったのは大人になってからです。
でも、他の兄姉たちとはもっと仲が悪くて誰も引き取りたがらなかったため、一番年下の父が「ふざけんなよてめーら!」と激怒して引き取ることになったようです。
特に一番上の伯母は父と犬猿の仲で、「あんたみたいな非情な男に預けるくらいなら、母さんのお姉さんの長男の嫁に世話して貰う!」と電話で連絡したそうで、その非常識っぷりに当のお嫁さんから父がヒドイ剣幕で怒鳴られたそうです。ほぼ他人でしょ、それは……。
施設に入った時も兄姉たちに「たまには顔出してやれよ」と連絡しても、ことごとく「あんたたちで勝手にしたことでしょ、どうしていかなきゃいけないの」という返事が返ってきたそうです。ううう……。
父方の従弟妹たちと再会できる日は来るのかなぁ……。


かなり色々な事を忘れて、ファンタジー世界に生きるようになってしまった祖母なので、もう私のことは忘れてしまったかもしれない、と不安に思いながら施設に赴きましたが。
「あらー、リエちゃん! これ、孫なんス。やんややんや、太ったねぇ。まんまるだねぇ」
と言われました。
ちょっと傷つきましたが、これはツンデレ婆ちゃんの精一杯の褒め言葉なのです……。これまでに褒められたのは、「眉毛が立派」「まんまる」「髪が多い」ってことくらいです。ううう……。
でも、やっぱり初孫だから覚えてくれていたのだと思います。
その後、窓から見える景色を指さしながら、「アレは婆ちゃんの知り合いの家、アレは甥っ子が作った家」などとファンタジー設定を披露してくれました。目も耳も言葉もしっかりしているのに、記憶だけがね……。
ちょうどオヤツの時間に入って、「リエちゃん、これをお食べよ」とモンブランを必死に勧められましたが、出したものを勝手に食べてはいけない決まりの上に、一緒に行った母に「もう帰るよ!」と言われて撤収になりました。
婆ちゃん、元気でね。天国の爺ちゃん、婆ちゃんを見守っていてね。