八朔の雪

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)

高田郁先生著、みをつくし料理帖シリーズ1巻。
災害で両親と親友を失い、大阪から江戸へ移ってきた少女が、料理人として身を立てるお話です。


私自身も友人を病で亡くし、震災の惨状に胸を痛めていましたが、そんな傷跡をそっと撫でてくれるような作品でした。
作中料理のレシピもあり、「落ち込んでいる場合じゃないよ」ってお腹が鳴ります。
時代小説ではありますがチャンバラはなく、家族の絆や友情、そして淡い恋心が丁寧に描かれており、時代小説が苦手とい人でも夢中になれると思います。
女性はけなげで、男性は不器用で。そして、みんな逞しくてあたたかいです。


以下備忘録。
【狐のご祝儀】稲荷の縁でつる屋で働くことになった澪。常連客の小松原から助言をもらい、目玉料理を作り上げる。
【八朔の雪】吉原の祭に出向き、亡き両親や幼なじみに思いを馳せる澪。そのうち京風の心太に江戸風の味を付ける事を思いつく。
【初星】種市が腰痛を煩い澪が店を任される。ところが女料理と客に嫌がられ、小松原からも「基本がなってない」と指摘され……。
【夜半の梅】一躍有名となったつる屋だったが火付けで店を失う。そこに、吉原の又次が文を持って現れる。あさひ太夫の正体を悟った澪は、再起する事を誓った。