いつも心に好奇心!

いつも心に好奇心! 名探偵夢水清志郎VSパソコン通信探偵団 (青い鳥文庫)

いつも心に好奇心! 名探偵夢水清志郎VSパソコン通信探偵団 (青い鳥文庫)

青い鳥文庫20周年の企画本。
「クイーン」「ジョーカー」「飛行船」「人工知能」という4つのお題を使って、はやみねかおる先生と、松原秀行先生が競作されています。松原先生の本は初読み。
児童書好きな私ではありますが、中学生の頃には普通に文庫の推理小説に手を出していたので、10年以上ブランクがあるのです。松原先生がデビューされた頃には私、既に社会人でしたね……。
ハリー・ポッターからの児童書ブームは、子供を持たない大人でも児童書を手に取りやすくなったので、良かったなぁと思います。


それにしても、怪盗クイーンが三題噺ならぬ「四大噺」から生まれていたとは。夢水探偵と怪盗クイーンの初対決のお話は、ダブル天然ボケという面白さだけではなくて、深く考えさせられる話でした。
子供にも親にも読んで欲しい作品です。


パソコン通信探偵は初めて読みましたが、個々の意見を尊重し、議論で解答を出す姿は知的で格好良いですね!
揚げ足取りばっかりの日本の政治家に読ませたいですよ……。
ただ、回文は多すぎてちょっと飽きたかも。子供だけならともかく、大人までやっていたので、かなり違和感が。
あと、まだネット犯罪が今ほど多発していなかった十年前の話とはいえ、子供が掲示板に犯行予告めいた書き込みをするのもどうかと思うし、子供が個人情報を書いてオフ会にほいほい行くのも怖かったです。


なお、2つの話の接点は少なく、たまにすれ違う程度でした。もっとがっつり競演しても面白かったのになぁ、と思いました。
……いや、それは作家さんが大変なのは百も承知……。


以下備忘録。


【怪盗クイーンからの予告状】
倉木博士に怪盗クイーンから予告状が届く。国からの支援で開発中の人工知能RDシステムを盗むという。
その対決相手として、名探偵夢水清志郎が指名された。
しかし、夢水は全ての謎を解いたにも関わらず、クイーンの犯行を止めようとしなかった。
彼はRDが将来何に使われるのか気がついていたのだった……。


【パスワード電子猫事件】
まどかが九外先生から託された回文ペットロボットAIMIAが行方不明となった。
その頃、とある電子掲示板には、「クイーンだ」と名乗る謎の人物から、犯行予告ともとれる謎の暗号文が掲載され、その中にAIMIAの存在を思わせる回文の文章が書かれていた。
パソコン通信探偵団は暗号の謎を解き、「クイーンだ」の元へと駆けつける。