銀二貫

銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)

銀二貫 (幻冬舎時代小説文庫)

高田郁先生の時代小説です。もう既刊はこれで最後だー!
みをつくし料理帖シリーズ』も『出世花』も『銀二貫』も本当に面白かったのです。
ぐっと来るなぁ。


大阪天満宮に寄進するはずだった銀二貫で命を救われた少年が、恩を返すべく精魂込めて働くも、町を度々襲う火災。
運命に翻弄されながらも真っ直ぐに生きる松吉と、周囲を取り巻く人々の温かい心に涙が出ました。
清々しい読後感。読んで良かった。
一言で言うならば……「情けは人の為ならず」……これだ。


上方の"銀二貫"は今なら二百万円くらい(変動相場)だそうです。
ただ、庶民の食費がやたら安く、うどん十六文(160円くらい)の時代ですから、寒天専門店で二百万円を貯める、というのはこの数字以上に大変な事だったと思います。


どうでもいい事ですが、高田郁先生が、「たかだ・かおる」と読むことにようやく気がつきました。
ずっと「たかだ・いく」って読んでた……。


以下備忘録。ネタバレ注意。


仇討ちで父を亡くした少年を寒天問屋の和助が銀二貫で救う。それは天満宮再建のための大金だった。
松吉と名を変え、商人として働き始めた少年は、料理人嘉平と娘の真帆に出会う。しかし、大火で嘉平は亡くなり、真帆は大火傷を負い別人として生きることに。
松吉は真穂に請われ、嘉平の生前の望みだった特別な寒天作りに没頭していく。
何度も苦難を乗り越え、何度も人の命を救った銀二貫をようやく天満宮へと納めた時、松吉も和助も、大きな幸せを手に入れていた。